美味しんぼ「舌の記憶」
こんにちは。
松本鶏園 食品部門 村上です。
今日は、「食の本質を追及し続けて30年。国民的”大人気作”、美食漫画の金字塔」美味しんぼ 1巻 第9話「舌の記憶」について書いていきます。
美味しんぼは、ビックコミックスピリッツで1983年20号から掲載された、食をテーマに展開されるストーリです。私の年代の方なら、一度は読んだりテレビで見たりされた方も多いのではないでしょうか。
物語は、東西新聞社文化部新人の栗田ゆう子さん一家が、最近、物忘れが多くなってきたおばあさんを喜ばせるために、昔、好きだった築地のとり料理屋さんで、水炊き鍋を食べるところからはじまります。
おばあさんはその昔、新しいもの好きで活発でハイカラ。そのお店の水炊き鍋が大好きで、おじいさんも一人で三人前も四人前も食べたほど。
しかし、おばあさんは「ここはそのお店じゃない」と箸をつけません。
理由を聞くと。。
だって、くさいんだもの。
おじいさんと食べたとり肉は、こんなイヤな匂いはしなかったよ。
この話しを聞いた、山岡は知り合いのおばあさんに、鳥を分けてもらいに行きます。
※絵を見る限りですが、放し飼いかと思われます。「日光を浴びて、地面の上を走り回りミミズや虫、自然の葉を思う存分食べている鳥」と、文中にもあります。
ゆう子さんは、おばあさんを連れて前回のお店でもう一度水炊き鍋を食べてもらいます。
すると「この味、この味なのよ」と。
コクがあるのに、少しもくどくなくて。鳥ってこんなに美味しいものだったのね!
かみしめると、味がどんどん出てくるわ!
何ていい匂い。
本当に健康な鳥はこんなにもいい匂いがするものなんだわ。
この漫画を読み、私は「はっ!」としました。
先代の社長は、なぜ世界に出てまで「香鶏」を探し出したのか、不思議でたまりませんでした。実際のところ、原原種からの一元管理は本当に大変なことなのです。
理由を知りたくても、あの世まで聞きに行くことはできません。
しかし、美味しんぼを読んで、「本物の鳥の味を伝えたい」という一念。
ただ、それだけの思いに突き動かされたのだと強く思いました。
そして今、香鶏に関わる仕事をしていることを、心から誇らしいと思っています。